2021/07/14
教育・研究
【栄養科学部】食環境づくりと栄養・食教育
7月12日(月)栄養科学科「地域栄養活動論」(佐藤ななえ教授)が開講されました。本講義は、現行の健康・栄養政策である「健康日本21(第二次)」の中で、特に重視されている食環境整備について、「食生態学(地域社会の食環境や社会経済環境との関わりも含めて、人々の望ましい暮らしと幸福の実現のための食を通じた支援について検討する学問領域)」を専門とする講師を招き理解を深めるとともに、食環境整備の推進における管理栄養士の役割を考える機会とすることをねらいとしています。
今回は、女子栄養大学栄養学部(食生態学研究室)の林芙美准教授に「食環境づくりと栄養・食教育~食物へのアクセス・情報へのアクセスと栄養・食教育~」と題し講義いただきました。
林先生は、米国デラウエア大学卒業後、コロンビア大学教育大学院修士課程を経て、東京医科歯科大学大学院博士課程を修了(医学博士)されており、米国登録栄養士の資格をお持ちです。(国研)医薬基盤・健康・栄養研究所、千葉県立保健医療大学を経て、2017年より現在のご所属でご活躍されています。
講義では、健康に無関心な層を含む多くの人々の健康的な食生活の実践を促すうえで、今最も注目を浴びている行動経済学や「ナッジ」※に焦点を当て、食行動変容の支援におけるナッジを用いた取り組みの可能性、ナッジの枠組みに基づく具体例や、これまでの諸外国の研究成果について概説いただきました。その他、コロナ禍が人々の食生活にどのような変化をもたらしたかについて、国の調査結果に基づき、年代別、暮らし向き別に解説いただきました。
新型コロナウイルス感染症により、2年連続してのリモート講義となりましたが、受講していた学生は、人々の行動変容を促すうえで、ナッジを用いることが有効であること、食環境づくりと栄養・食教育の両方の取り組みが必要であること、多様な暮らしに対応した取り組みが必要であることなどを学ぶことができ、栄養の専門職としての実践に役立つ大変有意義な時間となりました。
※ナッジ(nudge):ひじで軽く突く。(行動経済学上)対象者に選択の余地を残しながらも、より良い方向に誘導する手法。