2025/12/04
児童教育学科
「児童教育学科吉田英彰准教授の論文が日本教育事務学会年報に掲載されました」
2025年11月、盛岡大学文学部児童教育学科吉田英彰 准教授の研究論文「VR・AIを導入した教育実践最前線と、教育事務の役割 〜What? How? 授業や校務、事務で活用するAI〜」が、日本教育事務学会年報 第12号(査読付き)に掲載されました。
本研究は、生成AIやVRをはじめとした新しい教育技術が、授業実践だけでなく、校務・教育事務にどのような革新をもたらし得るのかを、最新のガイドライン(文部科学省2023・2024)と全国のパイロット校の事例を踏まえつつ整理し、今後の展望を示したものです。
<研究の主な成果>
1. 授業での生成AI活用の広がりと具体例
・英語科の会話練習(AIとの対話によるSpeaking支援)
・国語の「話す・聞く」学習での支援(足りない視点の提示、議論の深まり)
・情報科におけるプログラミング支援
・小中高パイロット校の実践(MEXT「Leading DX School」)
2. 校務・教育事務領域での有用性
・学習指導要領改訂に伴う運営計画の自動生成支援
・会議資料の日付・曜日不整合のAI自動チェック
・保護者対応マニュアルをAIに読み込ませた即時検索・助言システム
・顔解析AIを活用した卒業アルバムの掲載回数チェック自動化
3. AI活用におけるリスクと課題
・提案内容の正確性・信頼性
・個人情報保護、情報セキュリティ
・ICT環境整備の不十分さ
・教員・事務職員のAIリテラシー向上
・校務での活用事例の不足(特に教育事務領域)
4. ガイドライン ver2.0 が示す今後の方向性
・人間中心のAI活用原則
・情報活用能力(AIリテラシー)を含む教育カリキュラムへの統合
・校務におけるAI利活用の明確化と推進
・リスク管理と説明責任の強化
・特別支援教育や自治体間格差など、継続的な課題への展望
<研究の社会的意義>
・生成AIが授業に限らず学校全体の業務改善につながることを明確に示した点
・教育事務職員の役割が、従来の事務処理中心から「学校経営の基盤整備」へと拡大している点
・日本全国でAI活用を進める際の実践的指針を示した点
「AIは、教師や事務職員の仕事を置き換えるものではなく、人間が本来注力すべき子ども理解・関係づくり・ケアの時間を取り戻すための道具です。今後も、教育現場に寄り添ったAI活用の研究と実践を進めていきたいと思います。」
<論文情報>
タイトル:VR・AIを導入した教育実践最前線と、教育事務の役割 〜What? How? 授業や校務、事務で活用するAI〜
著者 :吉田 英彰(盛岡大学)
掲載誌 :日本教育事務学会年報 第12号
掲載ページ:30–35
発行年月:2025年11月
謝辞
本研究は、盛岡大学学術研究助成(代表者:吉田英彰)の支援を受けて実施されました。
