盛岡大学・盛岡大学短期大学部

2019/06/09

地域連携

2019年度盛岡大学特別公開講座

テーマ 「これからの小学校英語」  ~未来への英語教育のすすめ~

第一部 基調講演  講師 立教大学名誉教授 鳥飼 玖美子
「子どもと〈ことば〉~不確実な時代に生きる子どもたちにとって何が大切か~」

第二部 パネルディスカッション
「小学校英語教育現場からの声そして未来への英語教育に向かって」

鳥飼玖美子先生への質問Q&A

Q 1 日本の子どもたち全員に英語(外国語)教育を行う必要があると思うか。一部のエリートだけに集中して教育を行うという考えについてどう思いますか。
A 1小学生全員に英語を教える必要はありませんが、中学高校の英語は「異文化への窓」という意味があるので、エリートだけでなく全員が学習するのが良い。

Q 2 日本の英語教育とヨーロッパの英語教育の大きな違いは何ですか。
A 2 ヨーロッパと言っても国によって違うので一概には言えません。

Q 3 日本語英語以外で学ばれた語学(スペイン語等)が先生の人生に与えた影響があったら教えてください。
A 3 日本語や英語とは異なる世界を知ったこと。

Q 4 日本人が英語を学ぶ上で不可欠な発音記号はなくなってしまうのか。
A 4 学習指導要領では、教えることは自由となっています。 なくなることはないでしょう。

Q 5 日自己肯定感の低い子どもたちに自信をつけさせる有効なアドバイスはありますか。
A 5機会をとらえて褒めること。

Q 6 小学校では、どのような内容で、どれくらい(回数、時間)指導したらいいか、中学校につなげていくためには何が必要か。
A 6 小学校での英語は基本的には不要です。中学へ向けて英語嫌いにさせないことだけが肝心です。

Q 7 日本語では普通の意味でも他国では良くない意味となる状況で子どもたちにとって悪影響になることは教えないことが適正か。
A 7 あえて悪い意味になる言葉を教える必要はないでしょう。

Q 8 マレーシアやフィリピンでは小学校1年生から母語と英語を同時進行で習い、中学に上がるころには大分話せるようになるが日本の英語教育の目指すものはなんですか。
A 8 マレーシアやフィリピンは植民地で英語を押し付けられていたので、誰でもある程度は使えます。日本とは状況が違います。日本が目指すものは日本人全員がそれぞれに考えることです。

Q 9 英語の発音が得意でない小学校教員はどの様にして指導したらいいか。
A 9 発音が苦手ならなるべく指導しないで欲しいが、個人的にでも音声学・音韻学を学んでいただきたい。

Q 10 評価のあり方について、来年度からどう実施すればよいか。
A 10 文科省が参考資料を準備中のようです。

Q 11 高校生は中学校1年生で英語が嫌いだったと多数の生徒からの意見がある。小学校で英語が教科化されると中学で同じ現象が起こるのでは。高校での授業は更に困難になるがどう思うか。
A 11 その通りだと思います。

Q 12 native speakerを目指さないということは理解できるが日本人教員がそれによって、日本語らしい英語を教えてしまうのではないか。nativeとまではいかなくても英語の特徴、子音、母音、強弱、リズム等きちんとつたえるべきだと考える。
A 12 それは同感です。英語の核となる音とリズム、強勢はきちんと教師が学び、指導するべきです。

Q 13 ローマ字表記について、例えば大谷選手、日本では「おおたに」でもユニホームは「OHTANI]どの様に説明すればいいか。
A 13 氏名の英語表記は個人の自由です。OHTANIとしておけば日本語の「おおたに」に近いでしょう。

Q 14 There are many varieties of English,so do you think it is necessary for English education in japan to follow one type,so as not to confuse students? Cunently textbooks by monkasho are written in American English if yes, then is it necessary for students to follow American pronunciation?
A 14 It is all right to teach American English, but other varieties should be accepted as well.

Q 15 communicationとinteractionの違いは何ですか。
A 15 「コミュニケーション」が幅広いことは講演で説明しました。Interaction は「やりとり」です。対話もあれば書くやりとり(SNS)も入ります。

Q 16 日本の外国語教育は英国の外国語教育と比較して劣っていると言えるか。
A 16 英国の外国語教育といっても大学か否か、学校によって異なります。

Q 17 小学校で教科化することによって英語が嫌いになってしまう児童に対しての指導はどうすればいいか。
A 17 無理強いしない、プレッシャーをかけない。

Q 18 留学したオーストラリアアクセントをアメリカアクセントに直して授業をするべきか。
A 18 そのままで良いのでは? オーストラリアの英語も英語です。

Q 19 リスニングの指導について苦慮しています。モチベーションが低くならないよう繰り返して聞かせる工夫、細かい音に注意を向けさせたりすることがよいのでしょうか。
A 19 一言では説明できないので、リスニング指導の文献をお読み下さい。

Q 20 異文化理解のための効果的な授業や題材等を知りたい。
A 20 異文化理解は「効果的」に指導できるほど単純ではありません。

Q 21 異質性とどう向き合うかと話していたが「同じである」というのも大切ではないか。
A 21 「人間みな同じ」という態度は摩擦があった時に対応できないので、異文化理解の初歩的レベルだとされています。

Q 22 家庭や学校外では自動翻訳機能のついた機器の質の向上を宣伝する大人もいるがその中で子供達へのmotivationを与え続ける「教師力」とはどんな態度が求められるか。
A 22 一言では説明できません。教えることへの情熱と責任感、生徒に対する愛情でしょう。

Q 23 これだけ英語教育が大切と言われ続けている中で「和製英語」は学習の混乱を招くと考えるのでなくしたほうがいいと思うが個性の一つとして「和製英語」は残した方がいいのか。
A 23 残したくないですが、和製英語は皆さん好きなようで消えるどころか増えています。和製英語が個性だとは思いません。英語コンプレックスの裏返しでしょう。

Q 24 暗記が得意ではない、話す、聞く、書く、読むの対策について知りたい。
A 24 英語は暗記科目ではありません。文脈の中での意味を考えて読むこと、そこに出てきた語彙を使ってみることでしょう。

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